配線チェッカー比較レビュー:戸上電機製作所「TLC-C」と共立電気計器「KEW8510」

電気

電気工事や設備改修の現場で、「どのコンセントがどのブレーカーにつながっているのか」を把握するのは非常に重要です。 改修工事の計画段階や実際の施工時に、施主から提示されたブレーカー番号と実際が異なることは珍しくありません。そんなときに役立つのが 配線チェッカー です。
私はこれまで パナソニック製(旧National)のBT42001、BT42002 を使用していました。しかし製造終了となり、後継機種も存在しないため、新しい配線チェッカーを探すことになりました。

生産終了となったNational製ラインチェッカー

候補として挙がったのが、戸上電機製作所のラインチェッカー「TLC-C」 と 共立電気計器の「KEW8510」 です。本記事では両者を比較した上で、実際に戸上製を購入し使用してみた感想をまとめます。

配線チェッカーとは?

配線チェッカーとは、コンセントや回路が「どのブレーカーに紐づいているのか」を特定するための測定器です。


活用シーンの例
・改修工事で不要なコンセントを撤去するとき
・分電盤のブレーカー番号と現場の実際が一致しているか確認するとき
・既存設備の回路を整理し、安全に工事計画を立てたいとき
・現場でのトラブル防止や効率化に大きく貢献するため、電気工事士や設備担当者にとって必須の道具といえます。

戸上「TLC-C」と共立「KEW8510」の比較

配線チェッカーの候補として挙がったのが、戸上電機製作所の「TLC-C」と共立電気計器の「KEW8510」です。価格はTLC-Cが約8万円台、KEW8510は約3万円台で、価格面では共立が手頃です。

共立電気製

共立KEW8510は家庭用の電気工事向けに設計されており、活線で使用可能で、100Vや200Vの電源系統に対応しています。送信機はコンセントに差し込む方式のみで、家庭用の回路調査には十分ですが、工場盤や400V系統、動力回路には対応していません。

戸上電機製作所製

戸上TLC-Cは家庭用から工場まで幅広く対応できる万能型です。100Vや200Vはもちろん、400V電灯回路や動力回路にも使用可能です。クランプセンサも付属されていて、周囲の影響を遮断して正確に回路を特定でき、ワニ口クリップが付属しているため、コンセントだけでなく照明回路や端子接続も可能です。また、送信機には電圧表示機能があり、調査対象ラインの電圧と照合できるため、確実性が高まります。

私が戸上製「TLC-C」を選んだ理由

私は工場設備を扱う機会が多く、家庭用100V/200Vだけでなく、動力回路や400V電灯回路を調査する必要があります。そのため、対応範囲が広い戸上製を選びました。価格は約8万円と高めですが、「これ一台で大抵の現場に対応できる安心感」 を優先しました。

ケース外観
ケース内部

「戸上電機製作所『TLC-C』は専用ケースに収納されており、送信機・受信機・クランプセンサー・ワニ口クリップなど必要な付属品がすべて同梱されています。ケースに収めることで持ち運びや現場での管理が容易になり、移動時の故障リスクが低減し、すぐに使用可能です。」

戸上製「TLC-C」の使い方レビュー

実際に使ってみると操作は非常にシンプルです。

1. 送信機をコンセントに挿す
調べたいコンセントに送信機を差し込みます。

100V、200V、400Vの該当する動作ランプが点滅します。

コンセントに接続


2. 受信機で分電盤をチェック
分電盤を開け、受信機を各ブレーカーや配線に近づけて調査します。

調査状況


3. メーター表示で判定
受信機のメーターは「1〜10」までの目盛り。
違うブレーカー → 反応なし、または 1〜3 程度のランプ点灯
該当ブレーカー → 10付近まで振り切れる
これにより、対象ブレーカーを確実に特定できます。

使用してみた感想

精度が高い:該当ブレーカーはしっかり10まで振り切れるので迷いがない
操作が簡単:送信機を挿して受信機を近づけるだけ
価格は高め:8万円は負担感があるが、幅広い現場で対応できるため投資に見合う
安心感がある:電圧表示やクランプセンサ対応など、現場での信頼性が高い

まとめ:どちらを選ぶべきか?

家庭用配線工事が中心 → 共立電気製 KEW8510(価格重視・必要十分)
工場や事業所も扱う → 戸上電機製 TLC-C(高額だが万能で安心)
私は戸上電機製を選びましたが、家庭用だけなら共立で十分だと思います。 用途と現場のニーズに応じて、最適な一台を選ぶのがおすすめです。

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