はじめに
ガスを扱う現場では、安全管理の徹底が何よりも重要です。
今回は、私の職場で実際に導入しているアズビル金門の業務用自動ガス遮断装置をレビューします。
- ガス遮断弁
- ガス遮断弁操作器
- ガス漏れ警報器
の3つを連動させることで、手動操作と自動遮断を両立させる安全システムです。
【取扱説明書】アズビルHPより参照
https://ak.azbil.com/asset/document/product/gas/gasshutoff/autoblock_manual_VAC-300PA.pdf
業務用装置である点に注意
この製品は家庭用ではなく業務用です。
工場・研究所・業務用厨房など、業務用ガス設備の安全確保を目的としています。
また、機器間は電気配線で接続するため、施工には第二種電気工事士以上の資格が必須です。
システム構成と機能
ガス遮断弁
配管の途中に設置し、ガスを物理的に止める装置。電気信号で自動的に閉止できます。

ガス遮断弁操作器
①弁開閉
操作器の「開/止」ボタンを押して、遮断弁の開閉ができます。

②復帰安全確認機能
遮断弁を再度開く際、復帰安全確認時間(30秒~5分、ガス事業者設定)が設けられています。
- これは、遮断弁以降の配管やガス機器からのガス漏れを確認するための時間です。
- 異常がなければガス供給を再開、漏れがある場合は弁は閉じたままになります。

③圧力低下確認(二次側圧力低下検知)
遮断弁開状態で二次側のガス圧が低下した場合、操作器が「圧力低下」と表示し、ブザー警報が鳴ります。
- 「リセット」ボタンを押すとブザーは停止します。
- ガス圧が正常に戻った後、安全確認を行った上で再度弁開操作を行います。

④気密検査機能
ガス遮断弁よりも上流のガス配管からの漏れがないか、気密性を確認することが出来ます。
⑤ガス漏れ検知時の自動遮断
ガス漏れ警報器と連携しており、警報器がガス漏れを検知すると遮断弁が自動で閉じます。
- 警報器信号の断線やプラグ抜けも検知可能で、異常時には表示やブザーで知らせます。
⑥内蔵感震器(地震時遮断)
内蔵感震器が作動すると遮断弁が閉じ、地震発生時のガス漏れリスクを軽減します。
- 「リセット」操作でブザー停止・表示解除が可能です。
⑦遮断履歴表示機能
過去3回分の異常遮断履歴を表示でき、原因確認やトラブルシューティングに役立ちます。
ガス漏れ警報器
ガス濃度を検知(ガスコンロなどからのガス漏れ)すると信号を送り、操作器経由で遮断弁を閉止。火災・爆発を未然に防ぐことが出来ます。
①都市ガス用ガス漏れ警報器
都市ガスは空気より軽い性質を持つため、天井から垂直方向30cm以内に設置するのが基本です。
ガス機器から水平距離8m以内かつ、換気の流れに沿った位置に取り付けます。

②LPガス用ガス漏れ警報器
LPガスは空気より重い性質を持つため、床近くに設置する必要があります。
設置高さは床面から30cm以内の高さに設置します。

配線方法について
取扱説明書には、
- 操作器・遮断弁間
- 操作器・警報器間
をどのような電線で接続するか、非常に親切に明記されています。



実体験から学んだ施工上の注意点
ガス漏れ警報器を遮断装置に接続した後、試験用のガスをガス漏れ警報器に吹きかけて作動テストを行ったのですが、遮断弁が反応しませんでした。
「もしかして配線ミスか?」と一通り確認したものの異常は見つからず…。
取扱説明書を良く読み直してみると、警報器接続後には本体側のディップスイッチをONにしないと、警報器を認識しない仕様になっていることが判明しました。

実際に使って感じたメリット
- 遮断がワンタッチで確実にできるため、試験や作業が効率的。
- 警報器と連動するので、万が一のガス漏れにも安心。
- 気密検査機能で配管からの漏れチェックが簡単にできる。
- 復帰安全確認機能のおかげで、誤操作によるガス事故を未然に防げる。
操作器の機能である、機密検査機能が本当に便利です。
YAZAKI製ガス遮断弁・自動ガス遮断弁装置
弊社内では、アズビル金門製の業務用自動ガス遮断装置と同様の機能を持つ、YAZAKI製のガス遮断弁および自動ガス遮断装置も一部使用しています。
YAZAKI製装置も、ガス漏れ警報器や遮断弁操作器との連携が可能です。


まとめ
業務用自動ガス遮断装置は、ガス設備の安全を守るために欠かせない機器です。
• 遮断弁・操作器・ガス漏れ警報器の連携によって異常時にガスを遮断
• 復帰安全確認機能・圧力低下確認機能で二次側の安全性もチェック
• 気密検査機能で配管からの漏れチェックが簡単にできる。
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